「ぅわっ!?」
急にドアが開いたもんだから、うちの体はバランスを崩して床に倒れた。
「お、起きたのか。稜ちゃんよ」
聞いたことのない声。
うちを殴って気絶させたやつとは違う声の男。
思い切り顔をあげて、顔を見ると、以外にも若い。
25,6かと思われるような顔立ちに、うちら特有の雰囲気を身にまとっている。
「誰だよ、てめぇ」
喧嘩するときには必ず出す声で相手をにらむ。
「俺は立花だ。立花京祐。横田組の副組長やってんだよ」
なんて誇らしげに言うけど、あんまり自慢できることじゃない。
それより、横田組って……。
長田組の兄弟組じゃねぇか。
「なんでてめぇが……」
確かに、長田組と横田組は、うちが前にいた岸田組のライバル組だったけど、いまさらうちがこんなことされる理由はない。
……待てよ…。
「横田組って、栗崎んとこの……」
「そうだ。栗崎様が俺らの総長だよ」
立花ってやつは、また誇らしげな顔をしている。
なんだって栗崎んとこの組にうちがさらわれなきゃいけねぇんだよ……。