「親父たちいないのって、うちを探しに行ってるの?」


「まぁ、そーゆーことだな」


淡々と語る香矢だけど、実際はうちと同じく、焦ってるんだろうな。


きっと、6時を過ぎて何もなく無事に帰って来たと知ったら、親父たちは切れるだろう。


普通の親は、良かったってホッとして、愛のムチのお叱りをするんだろうけど、うちは逆で、何かあったほうが怒られない。


例えば、事故にあってたり、不良に絡まれて喧嘩してたりしたほうがうちの親たちは怒らない。


いや、おばあはむしろホッとするんだろうけど母さんと親父とじいは何故か切れる。


6時までに帰って来れなかった理由が明確じゃなければ、あるいは、帰って来れたはずなのに、時間を忘れて帰って来なかったりした場合は、ぶん殴られる。


ヤバ・・・。


冷や汗が背中を伝う。


まさか、この不良で恋なんて真っ平なうちが生徒会長にアド書いた紙渡されて、いらない、持ってろ、って押し門答してたなんて言えないし。


「何してたんだよ、お前」


香矢はうちの中でも比較的おばあみたいに、不良っぽくない。


確かに、切れると怖いし言葉遣いだってそんなに良くない。


だけど、あんまり争うことはしないし、バイクに乗ってうちの後ろに付いてるけど、喧嘩売られて乗ってくるのは三波の方で、香矢は静かに見てるだけ。


さすがに、自分に被害がきたら合気道やってたし、相手と戦うことはするけどね。