ポカンとしたままうちと栗崎は2人の後を見つめる。
「……なんだあいつら」
「ね。…まぁ、邪魔者は消えたってことだよ」
また妖しい顔つきに変わって、栗崎はうちに微笑む。
繋いだままの手を引っ張られて気が付けば栗崎の腕の中にいる。
「翼たちも帰ったことだしさ。……何する?」
耳元で小さく囁くような声で言った栗崎の顔は、見えてなくてもニヤついてるのがわかる。
「なっ、何にもしねぇよっ!!」
押し戻そうとしたうちを喰い気味で抱き戻す。
懲りてねぇのか、こいつはよ。
呆れ半分で抵抗する気も失せる。
「もう、無理やり襲ったりしないから安心して。でも……」
そこで言葉を切って、栗崎はうちの肩を持ってゆっくり自分から離す。
うちの目をしっかり見て、一段と凛々しい顔つきに変わる。
「目、閉じて」
有無を言わさないトーンで来るから、戸惑いながらも目を閉じた。
この後に起こることは全部わかってるけど、閉じた。
栗崎が近づいてくる気配があって、唇に栗崎の体温が伝わった。