ゆっくりご飯を食べ終えて、顔を洗って着替える。


制服になんかならないよ、もちろん。


いつも通り、背中に「夜露四苦」と書かれた黒の中ランを着る。


親父の世代のときからの中ランだから、書いてある文字がダサいのは仕方ない。


バイクの鍵やらケータイやらをポケットに突っ込んで、母さんとおばあに適当に声をかけ家を出る。


別に遅刻したところで何もないからね。


のんびりバイクを出して、エンジンをかける。


ちょっと息をついてから、発進させる。


少しわくわくしてるのは、こんな時間に起きたのが久しぶりだから?


それとも、栗崎に会うのが楽しみだから?


理由はわからないけど、とにかく自分でも不思議なくらい心が躍ってる。


鼻歌でも歌いだしそうなくらい。


上機嫌だから、学校につくのもあっという間。


学校の駐輪場にバイクを止めて、久しぶりの校舎を見上げる。


生徒達が、もの珍しげな視線を投げるけど、お構いない。


そんなの、もう慣れっこだもんね。