「そういえば、三波は?」


あいつも同じ学校に通ってるんだから、同じ時間に起きてきていいはず。


ま、不良だから、ちゃんと起きてくることのほうが珍しいけど。


その点、香矢は毎日決まった時間に起きて、ちゃんと学校に行ってる。


絶滅危惧種にでも認定してもらったらいいのに。


「さぁ。まだ見てないから、寝てるんじゃねぇの」


最後のトーストを口に放り込みながら香矢は雑に言って、チラッと時計を見て満足そうに微笑んだ。


なんか妙にきっちりしてるから、ご飯も15分以内に食べるとかいろいろ自分の中で決まりがあるみたい。


「じゃ、行ってきます」


香矢がかばんを手にして、うちらに声をかけていく。


「はい、行ってらっしゃい」


丁寧に答えたのは、いつからいたのか、おばあ。


「あいよ。気をつけてね」


おっさんみたいな返事を返すのが、母さん。


うちは、トーストを食べてる途中だったから答えない。


うちの学校は8時半までが登校時刻。


今、時計は8時。


なんで30分も前にうちを出るんだろう。


バイクですっ飛ばせば5分なのに。


……あ、香矢は歩いていくからか。