「はい、どうぞ」
母さんがコーヒーとトーストを持ってくる。
「ん」
まだ頭がすっきりしないから、短くそう答える。
コーヒーのいい香りと、焼きたてのトーストの匂いが食欲をそそる。
香矢がちょっと顔をしかめた。
コーヒーの香りが苦手なんだよね、この人。
そのくせ、コーヒーは鼻つまみながら飲んでる。
意味わかんない。
まだ熱いコーヒーをブラックのまますすって、ミルクと砂糖をあほみたいに入れる。
この甘さがたまらない。
紅茶にはない、コーヒーの苦味が残ってるのがいいんだよね。
香矢は信じられないって顔で見てるけど。