次の日の朝。
寝起きだけじゃないけだるさを体中にまとって、あくびを連発しながら降りていく。
「あれ、稜早いね。どうしたの」
なぜか上機嫌の香矢が珍しそうな顔で言う。
「ん…ちょっとね」
「何、どっか行くの?」
機嫌がいい香矢はまだ詮索してくる。
「聖華に用があんの。だから学校行くの」
「ふーん」
聞いておきながら、大して興味もなさそうに相槌を打った。
「母さん、ご飯」
「え?パンしかないわよ」
……。
大体抜けてるんだよね、母さんって。
「飯って意味のご飯。別にパンでもなんでもいいよ」
「あら、そう。じゃ、ちょっと待っててね」
パンをトースターに入れて、何飲む?と聞く。
「……コーヒー」
「はい、コーヒーね」
チラっと香矢を見ると、香矢はどうやらココアを飲んでるみたい。
母さんがコーヒーを作ってるのを横目で見ながら、もう一度でっかいあくびをする。
ヤバい。
死ぬほど眠い。