さて、家にはまたうちだけ一人ぼっち。
居間のソファに座って、香矢の話をもう一度頭の中で繰り返す。
栗崎龍紀はうちらの世界にとって大変な権力者。
2つ組を所有してて、日本の政界までも牛耳ってるような人。
その息子がうちを好きで、うちも今、栗崎を好きになりつつある。
……というか、もう好きなのか。
いまいちすっきりしないのは、なんで校長が香矢に頼んだのかってことと、なんで今更調べてるのかってこと。
入学した時点で調べようと思えばいくらでもできただろうし、父親が政治家なら身元もしっかりしてるだろうし。
どうして今更……?
1人で考え込んでると急にポケットに入れたケータイが鳴った。
見るとディスプレイには、"聖華"の文字。
さっき会ったのに。
「もしもし?」
「あ、稜?」
「以外に誰が出んだよ。……あんだよ」
うちの口の悪さなんてもう慣れっこの聖華。
「いや、明日からちゃんと来てね、って」
「さっき聞いたよ、それ」
「でも、稜ならすっぽかしそうだからさ。とにかく!!明日、必ず来てよ?」
「はいはい…」