彩夏ちゃんの言葉を遮って香矢が口を開いた。


「違う。そうじゃない」


「じゃ、どうして……」


その言葉を最後に、しばらく沈黙が続く。


彩夏ちゃんは戸惑った表情で、じっと香矢を見つめてる。


香矢は言葉を選んでいるような表情で、じっと宙を見つめている。


うちはただ2人を見守ることしかできない。


「……栗崎って覚えてるか?」


口を開いた香矢から飛び出た言葉は、聞き慣れた名前。


「栗崎?」


思わず、彩夏ちゃんと目を見交わす。


「稜ちゃんの……」


「そう。その栗崎」


なぜ、"稜ちゃんの"で、納得してしまうのかなぞだけど、とにかくあの生徒会長であることは確かなよう。


「覚えてるって、今稜ちゃんからその人の話聞いてたところよ?」


「違うんだ。あいつ、俺らと小学校も中学校も同じなんだよ」


は?


いきなり何を言い出すのかと思えば。