香矢は少しイラっとした表情を見せたけど、それはすぐに諦めに変わった。


勝手にしろ、とでも言いたげな視線をこっちに投げて、彩夏ちゃんへと視線を移す。


「最近、連絡しても返ってこないことの方が多いし、2ヶ月も会ってないんだよ?


嫌われちゃったのかなって誰でも思うよ…」


うちの位置から聞き取るのが精一杯の声で彩夏ちゃんは言った。


「あ……ごめん」


相変わらず香矢ははっきりしない。


言い訳するでもなく、だからなんだって開き直るわけでもない。


ただ、相手を傷つけないように傷つけないようにしてるだけ。


そんな煮え切らない態度で、この場を逃げ切れるとでも思ってるんだろうか。


だとすれば、男の風上にも置けないやつ。


「謝れば済むって問題じゃねぇだろ」


香矢に聞こえるか聞こえないかくらいの声で、呟いた。


チラっと香矢がこっちを見たような気がして、すぐ彩夏ちゃんが口を開いた。


「別に、香矢が私を嫌ってるからどうってことじゃない。


もしそうなら、一思いに別れてくれたほうがお互いのためなのにって＿＿＿」


「違う」