「あっ……」
という声と共に、香矢の動きが止まった。
壁に寄りかかりながら、香矢と彩夏ちゃんのやり取りを眺めることにしたうち。
男女の問題に、人が口出したってどうにもならないからね。
「お前……なんでここにいんだよ」
なっ……。
なんてこと言うんでしょ、こいつは。
「いてっ」
後ろからそばにあったボールペンを香矢の頭目掛けて投げつけた。
「なんでじゃねぇだろうがっ。わざわざ彼女さんが会いに来てくれたんだから、少しはうれしそうな顔しろっ」
ほぼ呆れた顔に近いうちを見て、香矢も少し正気に戻る。
居間の中に入って、さっきまでうちが座ってたところに座り、彩夏ちゃんと向かいあう。
「久しぶり」
「あ…おう、久しぶり…」
彩夏ちゃんのほうがよっぽど堂々としてる。
情けねぇなぁ……。