「悪いけど、これ」
栗崎に向かって紙を持った手を突き出した。
「なんだよ」
相変わらず、うちの目の前のフェンスに寄りかかってポケットに手を突っ込みながら聞き返す。
「んっ」
栗崎の問いに答えず、手をさらに突き出す。
「だから、なんだよ」
栗崎も負けじと聞き返す。
「んんっ」
「なんだよ」
この繰り返しを何度もした挙句、どっちとも「はぁ」と息をついた。
いい加減、腕が痛い・・・。
それからしばらくして、睨み合ったまま栗崎が紙を受けとった。
「ま、いいや。誰かにアド聞いとくよ」
って怪しい笑みを残して屋上を去って行った。
「・・・・・・ウゼぇやつ」
小さく呟くと、またいすに寝転がった。