しばらくボーっとして、チャイムの音で我に返る。


ちょっと黙って座ってたけど、誰もいないのか、何も動く気配がない。


仕方なく立ち上がって、だるそうに歩く。


「あーい」


しまらない声を出して、玄関のドアを開ける。


「あ……」


「あら」


お互い向かい合って、ほぼ同時に言葉を発した。


頭に手を当てたまま、目を見開いてしばらく目の前の女性を見つめる。


「久しぶりね、稜ちゃん」


「彩夏ちゃん……」


香矢の彼女である、関野彩夏ちゃん。


去年のクリスマスに会った以来だ。