これ以上、自分の気持ちに嘘つけないけど、だからって栗崎にこの気持ちを打ち明けようとは思えない。
時々、腹の立つやつだから、なんとなくしゃく。
「あれ、稜ちゃんどうしたの?顔赤いよ?」
「あ?……べっ、別に赤くなんかねぇよ」
「いや、赤いよ。熱でもあるんじゃない?」
栗崎の手が、うちの後頭部に回って、栗崎のおでことうちのおでこがぶつかる。
「ちょ……」
「動かないでっ」
こいつ、確信犯か。
マジで、やめろよな…。
余計赤くなんだろうが……。
「やっぱり、熱あるよ!?すごい熱いもん」
ちょっとだけ離れて、でも顔はうちの目の前で言う。
そりゃ、そうだろうが。
好きな人の顔が目の前にあって、普通の状態でいられるほど鋼の心臓じゃねぇよ、うちは。
「あ、もしかして。俺見て熱上がっちゃったとか?」
何も言わないうちをみて、栗崎はそう言った。
さっきは若干冗談交じりの口調だったけど、今回は違う。
顔はいつも通りニヤけてるけど、声は真剣。