少しずつ、少しずつ近づいて、距離にしてあと2m。
そこで少し止まって、栗崎の様子を伺う。
もし、気づかれたときにすぐ逃げられるように、体制を整える。
でも、全然気づかない。
何考えてるんだろう……。
胡坐かいて、腕組んで、目瞑って、ちょっと眉間にしわ寄せて。
それは、ちょっと見とれてしまうような光景で。
はっ!!
いかん、いかん。
ブルブルっと頭を振って、もう一度栗崎を見る。
大丈夫、気づいてない。
って言うか、これって考え事してるんじゃなくて、寝てる……?
まぁ、そっちの方が都合いいんだけどね。
またちょっと近づいて、栗崎との距離1m。
よし、後はもう立ち上がって、襖に手をかけて外に出るだけ!!
やっと、開放される!!
……と、思ったのも束の間。
「え…っ?」