「ねぇ…、いい加減帰れよ」
「イヤだ」
……さっきからこれの繰り返し。
出口の真ん前に居座ってやがるから、動こうにも動けないし。
1cmでも栗崎に近づきたくないから、栗崎から1番遠い位置にいることもあって、動けない。
あいつが早く帰らなきゃ、何にもできないってこと。
いつもなら中ランにケータイとかいろいろ入れてるのに、今日に限って何も入ってない。
……ピーンチっ!!
暇なのももちろんだけど、栗崎を撃退するものがひとつもないってのは…。
うん、どうしようか。
体当たりじゃ、なんともならないと思うし。
かと言って帰ってって言って帰るような栗崎じゃないし。
うん、どうしようか。
とりあえず……。
「帰ってってば」
「イヤだってば」
だろうね。
もう期待は初めからしてないから。