体育館の入口まで戻って、積み重なったところから大きな段ボールを3個引き抜く。


「よし、これでいいか!」


早いとこクラスに運んで、適当に仕事終わらせて帰ろうっと。


3つ重ねて持とうとするが、大きいからすぐ手から滑り落ちてしまうし、抱き抱えようとすると前が見えなくなってしまう。


(仕方ない、1個ずつ持っていくか)


ため息混じりに呟いて段ボールを手放そうとした瞬間……

背後から伸びた腕が、視界に割り込んだ。



するっ



段ボールが。
大きな手で軽がると持ち上げられ。

振り返ってみれば、段ボールはハルの手に。

私の横着ぶりを見兼ねてやってきたらしい。


「……なによ?」

「クラスに運ぶんだろ? 手伝うよ」


また、あの笑顔を向けられる。



だから、焦った。



「い、いらないよ!」

「じゃあ一個持てよ、佐渡が」


それはすごく助かるのだけれど、ハルにはつい厳しい口調になってしまう。


「だから、いいってば! あたし一人で大丈夫って言ってんじゃん!」