「──きらい……」


急激に押し寄せた、いらだちと、不安。


「大ッ嫌い──!!」


ハルのキモチを、蔑(ないがし)ろにして、私はその場から、走って逃げた。




10月の夜の少し冷たい向かい風が「逃げるな」と私を押し返す。


それに逆らう私は、現実から、ミキから、ハルから、
……そのキモチから、逃げていた。



心の中で叫ぶ。



(──幼馴染みなんかに、ならなければ良かったのに──……!)