弾き出されたのは、ココロの中に住み着いた、〝幼馴染み〟という名前。

私とハルを〝特別な関係〟にしてくれていた名詞。


それが今、私の中から飛んでいってしまった。




心臓が痛んだ。

体が急に暑くなる。
もう10月なのに。


……変なの……。

──あの石田と見つめ合った瞬間より、ドキドキしている。



「バっ、バカ!! 幼馴染みにそんな冗談言われたって、嬉しくないっつーの!!」


嘘。
本当は嬉しい。


「冗談じゃないって! ヒドイぞ、人が死ぬ気で告ったのに!」


そうだよね、ごめん……。


「だって──……」


ズルいよ、ハルは。

いっつも冗談で怒ったり、冗談でちゃかしたり、冗談で悪口言ったりして、いっつもヘラヘラ笑ってるのに。

こんな時だけ、真剣な顔するなんて。