「あぁ、自分で持ってきたから。サンキュ。」
大原の気持ちには何となく気づいていた。ちょっとした行動や言葉の端々に好意が感じられる。顔は特別可愛いというわけではないが、のんびりした雰囲気で、良く気が付く良い子だ。雅人からは付き合っちゃえよと言われるが、告白されたわけじゃないし、かと言って自分から告白するのも何か違う気がする。雅人いわく、女は告白されるのを待っている―らしいが。そもそも僕は大原に告白されたら受けるのだろうか。
僕の大学では十月の連休に文化祭が行われる。うちのサークルは、代々『アイス天ぷら』というのをやっている。カチカチに凍らせたシューアイスにホットケーキミックスをつけて揚げる。これがなかなか評判が良い。休日などは行列が出来るほどだ。作る僕らは、学際期間中に失敗作をたくさん喰えるので、しばらくはアイスも天ぷらも食べたくなくなる。四日間のシフトを作って、看板製作や材料の仕入れ等の担当を決めて今日は解散となった。
「なんかあっという間だよな。」
雅人は両手をぐっと空に突き出して背伸びをした。
「本当だよなぁ。」
つられて見上げた空は、絵の具を溢したようにどこまでも青色が続いている。
「去年は先輩の後についてればよかったのに、いつのまにか俺らが先輩だぜ?」
「そぉだなぁ。来年は就活だしな。」
時の速さは生きていた年数によって感じ方が変わる、この前何かのテレビでやっていたことだ。例えば六歳の子にとっての一年は、生きてきた六年の六分の一。だけど二十歳の僕にとっての一年は二十分の一になる。そんなことをぼんやり思い出してたら、急に雅人が「あっ」と声を上げた。
大原の気持ちには何となく気づいていた。ちょっとした行動や言葉の端々に好意が感じられる。顔は特別可愛いというわけではないが、のんびりした雰囲気で、良く気が付く良い子だ。雅人からは付き合っちゃえよと言われるが、告白されたわけじゃないし、かと言って自分から告白するのも何か違う気がする。雅人いわく、女は告白されるのを待っている―らしいが。そもそも僕は大原に告白されたら受けるのだろうか。
僕の大学では十月の連休に文化祭が行われる。うちのサークルは、代々『アイス天ぷら』というのをやっている。カチカチに凍らせたシューアイスにホットケーキミックスをつけて揚げる。これがなかなか評判が良い。休日などは行列が出来るほどだ。作る僕らは、学際期間中に失敗作をたくさん喰えるので、しばらくはアイスも天ぷらも食べたくなくなる。四日間のシフトを作って、看板製作や材料の仕入れ等の担当を決めて今日は解散となった。
「なんかあっという間だよな。」
雅人は両手をぐっと空に突き出して背伸びをした。
「本当だよなぁ。」
つられて見上げた空は、絵の具を溢したようにどこまでも青色が続いている。
「去年は先輩の後についてればよかったのに、いつのまにか俺らが先輩だぜ?」
「そぉだなぁ。来年は就活だしな。」
時の速さは生きていた年数によって感じ方が変わる、この前何かのテレビでやっていたことだ。例えば六歳の子にとっての一年は、生きてきた六年の六分の一。だけど二十歳の僕にとっての一年は二十分の一になる。そんなことをぼんやり思い出してたら、急に雅人が「あっ」と声を上げた。