「まさか、僕の美貌では足りません、とか思っとるじゃないんか?」


「……」

「だったらええで。許しちゃる」


「本当ですか!!?」

自然に敬語になる。相手は年下なのに


「ああ」

山田は不気味に笑い


「但し、二度とその面、儂の目の前に洗わすなよ。さもなくば―」


「……」

唾を飲み込む名無しナルシスト


「切腹じゃぁぁあああ!!!!」


ドスっ

また鈍い音が聞こえた。

山田が名無しナルシストを殴った音―ではない。

山田を殴った音だった。


「すまん」

名無しナルシストに詫びる、猿渡。

「……」

安堵からか、名無しナルシストはそのまま気を失った

「三年は今日こないんじゃ…」
不満げに聞く山田

猿渡は少し苦笑いしながら
「おまえ一人だと、こうなるだろ」

そう言って、倒れる名無しナルシストの方に視線を移した

「だからだよ」

視線を山田に移した。
山田は漫画でよくある、わかったときの動きをした。
ほら、あの手をポンってする動き。

「なるほど!僕が暴れるのを影から見て、くすくす笑っているんですね」

「違う」

冷たく言い放つ猿渡。

「まったく…マヨラー病が治らないかしら…猿渡の。あ、ドア直しといてくださいね」

そういうと、荷物を持ち、帰っていく山田。

「…俺も帰るか」

また視線を名無しナルシストに向けるとポツリと呟いた


「ドアの修理代、よろしく!」




何時間後、目を覚ました名無しナルシスト。
「な…なんだこれは」
名無しナルシストの手には、紙があった。


「ドアの修理代…10,000,000,000,000って」

ボッタクリだ…

-end-