一体どうやって手紙を届けてくれるのかは分からない――目が覚めると、手紙は枕元に置いてあるのだ。


 はじめは、女中の誰かの悪戯かとも考えた。だが、そんなはずはない――何故ならこの家の人間にとって、朔緋は揶揄う対象ではなく、怯える対象だったからだ。


 人形の瞳に映る、隠しきれぬ怯え。そんな彼女達が、どうして枕元に手紙など置こうか。


 それが理由の一つ。だが、何より朔緋自身がアヤトの存在を信じていたかった。


 アヤトだけが、自分に温かい言葉をくれる。夢を見せてくれる――……