「何してるんだ」


 突然の声にびくりと肩が震える。だが少し先に朱都の姿を見てほっとする。


「ちょっと……中を見て回りたくて」


「だったら行方に案内してもらえばいいだろ、迷ったらどうするつもりだよ」


「案内するって言ってくれたけど、断ったの。考え事したくて一人になりたかったから」


「素直についてきといて今更何を考えるんだよ。それとも逃げ出したくなったのか? 逃げられると思うなよ、仮に逃げられたって俺以外にもお前を狙う鬼はいるんだ、どこ行ったって同じだよ」


「別に逃げようとは思ってないし、逃げられるとも思わないけど……ねえ、なんで朱都は力が欲しいの? どうせ食べられるならそれくらい知りたいんだけど」