そもそも、鬼とはなんなのだろう。鬼について分かっていることといえば、人と同じように様々な種族がいるのだということ、温羅という種族がいるということ、温羅は焔や空間を操れるのだということ。


 だが、不可思議な術なら人間である龍華だって使えた。嵌められた銀の輪がその証拠だ。


 鬼から身を護る、鬼に対抗するための術――それが扱えるなら、この点において人と鬼に差などないのではないか。


 鬼は人に祟りをなすとされている。だが、人だって人を殺すのだ。そして、そのような人間は鬼と呼ばれる。遊戯にだって鬼は存在する――鬼は常に、人の傍にあるのだ。


 鬼とはなんなのだろう。人とはなんなのだろう。そして――龍華朔緋とはなんなのだろう。確かに人間であるはずなのに、この身は鬼に利益をもたらすのだ。