十二の誕生日から、龍華朔緋(タチバナサクヒ)は闇に繋がれていた。
一面白い、窓一つない牢のような部屋――否、ここは牢そのものだ。事実、朔緋の足は逃げられないよう、鎖で繋がれているのだから。
五年前から一度も替えられたことのない鉄の鎖は錆色に変えられた。
唯一、成長に合わせて替えられる、足首と鎖とを繋ぐ銀の輪だけが輝いている。――美しくたって、この檻の中では意味がないのに。
それを思うと、なんだか無性に可笑しくて笑いがこみ上げる。
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