私と宝は2回戦を始めるべく、再びコートに立った。

対戦相手は、県大会優勝候補だった。

勝ち目なんかない…そう思った。

けれど、宝は諦めの顔なんかしていなかった。

ただ、精一杯やろう…。

そんなふうに私にうったえているようだった。

応援が熱かった。

観客の視線が私達に注がれた。

一生懸命だった。

本当に一生懸命だった。

結果は敗退だったけど、後悔なんてなかった。

悔しかったし、涙だって流れ続けていたけれど、それでも、「諦めずに一生懸命やる」ことがどれだけ素晴らしいことなのか…学べた気がしたから。

「お疲れ!!2人ともかっこよかったよ!!」

涙ぐみながら…涙声で幸が駆け寄ってきた。

緊張がほぐれたせいか、私と…泣いたことがないってくらいの宝が声をあげて泣いた。