その夜、村の鐘が鳴った。

俺とお雪は体を起こし、耳をすませた。

「…の龍彦様のお通りだー!!」

俺たちは体を震わせた。

その足音は俺たちの家の方に近付いてきて、ぴたっ…と止み、その瞬間…ガラッ!!と扉が開いた。

俺はお雪をきつく抱きしめた。

「お雪!!なぜ私から逃げた?!」

龍彦は怒鳴った。

お雪はかたかたと小刻みに震えていた。

「すみ…ません…。」

「なぜだと聞いているんだ!!」

「愛していた人が…あなた様ではなかったからです…。」

すると龍彦はお雪の腹に目をやり、言った。

「その腹は何だ?!」

「幼い…命です…。」

するとその瞬間、龍彦はお雪の腹めがけて刀を刺した。