「家に住むとええ。」

口を出したのは父上だった。

すると母上も父上を見てにっこりほほ笑んだ。

「いいのですか?」

お雪は遠慮気味に聞いた。

「「ああ。」」

父上と母上は声をそろえた。

「お雪!!よかったな!!」

「ええ。ありがとう!!」

その晩、久しぶりに家の晩飯はにぎやかになった。

翌日の朝早く、俺が水田へ行こうと準備をしていると、「凜!!」と言って、包みを持ったお雪が走ってきた。

「はい。頑張ってきてな!!」

お雪が手渡してくれたものは温かい握り飯だった。

「ありがとう。行ってきます!!」

俺は亭主になったような気分で水田に向かった。

草引きをしているとあっという間に昼になってしまった。

「お雪の握り飯、もらおうか。」

一つ取り出して口に入れてみると、お雪のの愛情のこもった優しい味がした。

三つとも全て食べ切り、また仕事に戻った。