体育館の前で卒業生は待機する。

この時間が嫌いだった。

成美と愛心は前後で近いからしゃべっていたけれど、私は一人でぽつんとしていた。

その時、後ろから肩を叩かれて、声をかけられた。

「秋…おはよう!!」

振り向くと、幸と裕貴がいた。

「お…はよっ!!」

緊張で声が吃る。

話したのは2ヶ月ぶりだった。

涙が出る。

嬉しくて…声をかけられたのが嬉しくて…。

心配して成美と愛心が駆け寄ってきた。

「よかったね。」

そして、在校生の軽快な手拍子と吹奏楽部の演奏の中、入場する。