あれから、千とは何もない。

千はアドレスを変えたようで、私は千のアドレスを消した。

悲しくなるから。

千を想えば優しくなれたはずなのに、今は、千を想えば辛くなるばかり。

忘れたいのに忘れられない千との想い出が、今でも昨日のことのようにまわっている。

ピアノを弾く千の姿を誰よりも知っている。

小学校の頃から、千は伴奏をよくやっていた。

誰よりもピアノがだいすきで、誰よりもピアニストへの思いが強かった。

長く一緒にいた千とも、卒業式を終えたらお別れだと思うと、妙に切なくなった。