幸達の言う通りだった。

人は本当の恐怖に直面した時、声なんて出せないんだ。

そして…宝の言葉。

《いざとなると、すごい力が出る》

これを私は、身体面のことだとだと思っていた。

宝が言いたかったのは心の面のことだったんだね。

私はあの時、警察でも親でもなくて、千に電話をしようとしていたんだ。

電話はできなかったけれど、心で何度も千を呼んだ。

偶然かもしれないけれど、私の声は千に伝わったたんだね。