プルルル…

ガチャ!!

「秋花!?」

千の声を聞いて、本当に安心した。

そして、張りつめてた糸が一気に切れた。

「うああああっ!!千っ!!」

私は泣いた。

千の前では、誰にも強く見せていた自分すらいなくなってしまった。

「何があった?!」

私は両親の喧嘩の事、お父さんが出て行ってしまったこと、家族の事をお父さんに任された事、そして精神不安定と過労で倒れ、入院していることを話した。

「ごめん…。俺…気付いてやれなくて…。」

千は…泣いていた。

電話越しに聞こえた涙声、鼻をすする音、途切れ途切れに詰まる話…。

千は泣いてくれたの。

私のために泣いてくれたの。

初めて人を"愛しい"って思えたの。

「明日、見舞い行くから。光と。」

「ありがとう。またね!!」

ピッ…

千を想うだけで優しくなれた気がした。

私は携帯を閉じると胸の前に合わせた。