なんで? なんで私、泣いてるの? しかも課長の目の前で。 おかしいよ。 何やってんのよ私。 もう何年も、泣いたことなんかないのに…。 あの時ですら、泣けなかったのに…! なんで…こんなところで…っ!? 意味わかんないよ…自分が…っ! グシグシ服の裾や手で懸命に涙を拭う。 それに夢中になりすぎて、目の前が暗くなったのにも気づかなかった。 「すみれ」 …え……!? 課長、今、私のこと名前で呼んで…!? 驚いて顔を上げた瞬間――。 私の唇に暖かい温もりが伝わった。