その後で大家族がきた。
父親、30代前半らしき娘2人、娘のダンナ2人、子供、叔母…といったところ。
みんなでワイワイやってきて、明るく、少々騒がしい。
母親が手を振りながら、「ではちょっと行ってきます」と言い、笑顔で元気に手術室に入っていった。

40分ほど過ぎたろうか、大家族の父親だけが呼ばれた。
少しして戻ってきた父親に、家族達が寄って行った。
父親
「なんか悪性かもしんないらしいんだわ」
娘1
「えっ。でもまだわかんないんでしょ?」
叔母
「悪性って決まったわけじゃないんでしょ」
女性2人が明るく言う。
父親
「いや、肺ガンなんだってよ。もう手の施しようがなくて、開いてそのまま閉じたってよ」
みんな信じられない騒然とした雰囲気。
その母親がベッドに乗って出てきて、囲むようにして大家族が行ってしまった。

また待合所にシーンとした空気が戻ってきた。
私も父も驚いてしまった。
父が
「あの人ウチのママよりかなり元気そうだったのに。開いて閉じたって、相当酷いぞ。嫌な予感がするよ、ママもガンなんじゃないか?!」
『まさかぁ。だって先生、ガンの心配はまずないだろうって言ってたじゃん。』