いつもの縁側に向かうと知らない人が『何か』を運び出しているのが見えた、なんて言うのかな……直感??が働いて私は庭に設置してある倉庫の隅に隠れて息を潜めた。

そこは縁側からは死角になっていて気づかれることは無かったわ。
ただありえない光景を見てしまって身体の震えが止まらなかった。

『口から血を一筋流したおばあちゃん』を二人の男性が縁側へと運び出しているところだった。
おばあちゃんの身体はまるで力がなく生命という物質を遮断しているようだった。

私は子供ながらに『死』を肌で感じたわ。
怖くて悲しくて何だかわからない感情だった。
いや、正確に言うと『死』というよりも『殺意』のようなものだった気がするの。

そう、おばあちゃんは死んだのではなくて殺害されたのだと…………。

でも、そんなことはもうどうでもよくなっていたの。人間って不思議な生き物なのね、おばあちゃんの死より、その現場にいることよりも怖いことがあったの。
ううん、悲しかった??嬉しかった??そんな色々な感情が入り交じって私は笑っていた。

だって、そこには会いたくてどうしようもなかったお兄ちゃんが居たのだから。

でも、そこに居たのは優しいお兄ちゃんではなくて冷たくて冷酷な目をしたお兄ちゃんだった。