やっと思い出した。
十年前の夏に出会った少女だ。
I was surprised!!!

この飴玉だけの食卓は少女の夢だ。
それと、十年前に俺も招待してくれると言っていたこと思い出した。
少女はこの約束をずっと覚えていたことを知った。
今、申し訳ない気持ちが俺の心臓を急かしている。

蝋燭の火が少女の顔を曖昧に照らしている。
曖昧だが嬉しそうな表情をしてこちらを見ている少女を俺の瞳が捕らえた。

「やっと思い出してくれたね、お兄ちゃん」

少女は俺の方へと近づいて来ている。
少女の背後にはキャリーが散歩を楽しんでいる犬のように少女の後を追っている。

今、俺と少女の距離は握りこぶし二つ程で真正面に立って俺を見上げている。
その隣でキャリーは静かにお座りしている。

俺は少女を見つめていると少しだけ違和感を感じている、少女は十年前と変わらない容姿なのだ。
それと思い出した事がもうひとつある。
十年前、ここは病院ではなくておばあさん家だということを…………。

十年前の夏が終わり、秋が顔を覗かせてきた頃だろうと思うのだが、おばあさんは突然の難病で亡くなってしまったのだ。
その頃は大学受験にいそがしく、俺は葬式にも参加しなかった。

そして、その数ヶ月後におばあさんの家は病院に建て替えられてしまった。
幼い頃、母親とおばあさんが電話をしているのを盗み聞きしたことがある。
昔からそういう計画があったらしいのだ。

だが、おばあさんは断固として立ち退きを断り続けたらしい、早くに亡くなったおじいさんとの思い出の家を離れることが出来なかったのではないかと母親が父親に溢していた。

「何を考えているの??」

少女は不思議そうに見上げて俺を見ている。