それから少女はキャリーを手術台の足に繋いで、奥のテーブルに転がっている最後の一体の作業に取り掛かろとしている。

しかし、今までの少女とは少し違っていた。
愛しさや執着心が無く、大雑把にメスを振り回している。

物体の首にメスを刺して頭をもぎ取った。
両腕も同様に…………。
生命を無くしてしまった物体はただの生肉になってしまった。

それから少女は左の奥の壁に向かって歩いて行った。少女の手には奴等が持参していた拳銃を握り締めている。

すると壁に向かって三発の銃弾を放った。
壁に小さな穴が三ヵ所出来た、穴と穴の間に線で結べば逆三角形が出来る様に空いている。

その穴を鉄パイプで何度も殴り穴を広げた。
その穴に最後の一体から切り取った腕をねじ込んだ。
壁から二本の腕が生えている様な状態になっている。腕と腕の間は人がひとり収まる尺の長さだ。

そして最後の穴に仰向けの状態で身体を差し込んだ。差し込んだ身体から伸びる足は地面に着くように曲がっている。

そう、あっという間に椅子の姿になった。
俺と同じ壁の一部になったのだと俺は思った。

少女は満足そうに笑みを浮かべている。
ショルダーバックから飴玉を取り出して口に含み、椅子に座った。

飴を食べ終わると再び俺の前まで歩いてきた。

「私、図工の成績は良かったの、どう??」

評価を催促する少女は美しくもあり無邪気でとても可愛らしい。

「百点だよ、『よくできました』の判を押してあげたいぐらいだ」

少女は俺が埋まっている壁に頬を寄せて「幸せだわ」と呟いた。
〜Strange, happy the world〜

コンクリート越しに少女の体温を感じた。

それは、ただの気のせいだということは知っている。