まだ少女は戻って来てはいない。
恐らく、夢中になって使えるものを探しているのだろう。

何故だか、その光景が手に取るように分かるのだ。

ショッピングを楽しむ様に手に取ってみては戻すという動作を繰り返している。そして気に入った物があれば手首に掛けてある買い物籠に入れる。〜LUCKY〜

そして、足取りは軽くスキップなどをしているに違いない。
しかし、少女一人で戦えるのだろうか。
恐らく相手は少くても二、三人引き連れて来るだろう。

その時、手術のドアが開き少女が帰ってきた。
行きと帰りの違いがある。少女は台車を押しているのだ。

台車の上には段ボールが二箱乗っており、その上にはアルミ製のバケツが3つ置かれていた。

少女は少し不機嫌そうに頬を風船の様に膨らませている。

「身体中が埃まみれよ。まったく」

少女は髪の毛に付いた蜘蛛の糸を鷲掴みするように取り、床に落とした。

少女に楽しく買い物出来たのかと聞くと唇を尖らせてしまった。

「相当、貧乏な病院だわ。薬品があまり揃っていないし」

そして、少女は段ボールを開き俺に見せた。

「でも、何故だか知らないけど硫酸がこんなにあったのよ」

段ボールの中には硫酸が入った瓶がぎっしりと詰まっていた。

「こうなったらあの人たちに硫酸をかけてやろうと思うの」

少女は渋々この硫酸を使ってやると言わんぐらいに不満タラタラだ。〜dangerous girl〜

少女は脚立を取りに行くと言って、再び手術室を後にした。