俺は、こんな姿になっても奴らに復讐をしようと思ったことは一度もなかった。

それよりも、早く人生を終わりにしたかった。
精神的な苦痛や肉体的な苦痛から逃げ出したかったのだ。

しかし、今は違うのだ。
死にたいという執着心から〝殺してやりたい〟という気持ちがペンキで上塗りするかのように色を変えてしまったのだ。

それは〝メリック〟のために…………。

俺のヒーローを侮辱した奴らを退治する。
理由はこれだけだ。
いや、これで充分なぐらいだ。逆にお釣りがあるぐいだと俺は思うのだ。

少女は悪い奴らを退治してくれると前に言っていた。それは一体どのように実行するのだろうか。

「やっぱり、あの人たちを退治しなきゃいけないわ。お兄ちゃんのためにね。勿論、メリックのためにもね。だから、やめろなんて言わないでね」

と少女は小指を突き出して俺の唇に触れた。

「実は、俺も君と同じ気持ちなんだ。だが、俺は壁になっている。体も腐っている。どうやって奴らを退治するんだ??」

少女は不敵な笑みを浮かべている。

「この廃墟には医療品があるわ」

確かに医療品がそのまま放置されたままである。

少女は何か使える物を探し始めた。
手術室には医療器具はあるのだが医療品はあまり無い。

「手術室に有利に活躍する材料が無いわ」

少女はそう呟いたのちに医療品倉庫に探しに行ってくると張りきって手術室を後にした。

少女は手術室を出る直前に親指を突き出し、無垢な笑みを浮かべている。〜GOOD LUCK!!〜

俺も親指を突き出して真似をしようとしたが俺には出来なかった。