奴らは少女が隠れている手術台を通り過ぎて俺を見上げた。

「おい、生きてんのか」

俺の体が埋まっている壁を蹴ってきたのだ。
しかし、俺には被害は無いのだ。
なんせ、俺は壁なんだから物理的な攻撃は無効化にされるんだからな。

俺が睨むと男たちは怖がっているのか後退りした。
それから、生死の確認が済むと男たちはビデオカメラを取り出して俺を撮影をしだしたのだ。

撮影は数分間ビデオカメラを回して終わった。

「それをどうするつもりなんだ」

俺は威嚇するように言うと男たちは少しビクリとしたが体制を立て直した。

「こういった手のマニアがいるんだよ。以外に高額の値段で売れる。お前は現代の〝エレファントマン〟なんだよ」

男たちは言葉を吐き出した後、逃げるように廃墟から姿を消した。

奴らが去ったことを確認してから少女は手術台の下から滑らかに出てきた。

「ふぅ、あの人たちは最低ね。人間とは思えないわ。正気じゃあないわ、狂ってる」

少女はワンピースに付いた埃を白く細い手で払った。
「あぁ、確かに奴らは正気じゃない。だが俺も正気じゃない、こんな姿でも呼吸をしているんだからな」

俺が自分自身を苦笑していると少女は俺に向けて疑問を投げ掛けてきた。

「ねぇ、〝エレファントマン〟って何??私の辞書には収納されてないわ」

少女は腕を組んで右手で顎を触っている。

そんな少女を見ていると俺は思うのだ。
無垢な美しさとは少女のためにあるのだと。