「今日はどうしてここに? 夜は外に出ちゃいけないって教わらなかったかな」


「勿論そう教えられたわ。でも……聴こえてくる歌が気になって。初めて聴く歌だったんだもの。……あなた、妖精さんね? こんな歌、村にはないわ」


「聴いたことがあるかないかで判断したんだ? たいてい皆外見で判断するんだけどな」


「それはできないわ。私、目が見えないの」


 ここまで来るのも大変だったんだから、と溜息をつく少女に、彼は驚きました。そして、理解しました――だから少女は惑わされないのだと。