……噂に聞いた『陽紀』とは全く違う。

別人?

変な敬語使うし……。

サボってるし……。


「名前は?」


怖い人じゃないのかもしれない。

そう思ったのか、気付けば自然と名乗っていた。


「……城那……」


これが、私と5人が関わるようになった始まり。

この後、陽紀は何を思ったのか、私を他の4人に紹介した。


少し天然な想くん。

残念な蛍都くん。

頭のキレる辰くん。

不良らしい陽紀くん。


そして……そんな賑やかな4人とは対照的な、静かな麗しの王子、漆くん。


5人は意外とみんな話しやすくて、すぐに溶け込むことができた。


敬語の理由とかも知って、敬語が外れたのはその2ヶ月後。

その頃には……いつの間にか漆くんに恋をしていた。