「…入るぞ。」
「うん。」
颯悸の合図で中へ入る。
『う゛………ぅうっ………』
尚も聞こえるうめき声。
………霊か?…妖か?
想像よりも広い社の中を、声が聞こえる方へと進む。
ゆっくりと近づいていく度に、妖の気が強くなっていく。
暗く、重い、憎悪。
………つい、恐いと感じてしまう程に。
一歩ずつ、一歩ずつ。
進めていくうちに、一番大きな扉の前にたどり着いた。
『ぅう゛ぅっ……………う……』
この扉の奥だ。
この奥に必ず、いる。
「……開けるぞ。」
「…うん。」
あたしの返事に、颯悸は勢いよくドアを開けた。