藤沢は、俺に色々話してくれた。


兄貴と出合った事。

兄貴と喧嘩した事。

兄貴がくれたペンダントの話。

兄貴が好きだった映画や音楽の話。

そして。


「先生ね、よく神崎君達の事は話してたよ。俺には双子の弟がいるんだって。とっても楽しそうだった。とても会いたがっていた……」


俺と隼人の話をしてくれてたって事。


「そっか……ありがとな藤沢、なんだか、兄貴の事よく分かった気がする」


俺がそう言った時、藤沢が一粒涙を流した。


「あ、ごめん。話辛かったよな?俺のわがままでごめんな」

「違うの……違うの神崎君。謝るのは私の方。ごめんなさい」

「なんで藤沢が謝るんだよ?」

「私が先生のそばにいたのに……私が先生の一番近くにいたのに……ごめんなさい。神崎君……先生……」


藤沢は……自分を責めてるんだ。


「藤沢、俺別に藤沢が悪いなんて思ってない。病気だって藤沢のせいじゃないし、自殺したのだって、兄貴が勝手にやった事。藤沢は何も悪くない」


だって、本当の事だろ?



病気だって運命だったんだ兄貴の。

自殺したのだって、兄貴の弱さからなんだ。


「藤沢、だから泣くなよ」


藤沢の泣いた顔見ると、胸が痛い。