「あ、ペンダント」

俺が先に目に入ったのは、首から大事そうに掛けていた、俺が見つけたあのペンダント。


「あの時は、本当にありがとう。あれから、大丈夫だった?」

藤沢は、どっちかと言うと大人しそうな感じで、声はとても透き通っている。


「うん。大丈夫。見つかって、本当良かったよ。なんか大事みたいだし、今度からは落としたりするんじゃねーぞ」

何言ってんだ俺。
俺が藤沢に言いたいのはそんな事じゃないだろーが。



でも予定外。
俺が聞きたかった事を藤沢から話し始めた。



「神崎君って……神崎京介先生の弟さんだよね?」

「え……?」

「あ、ごめんなさい。いきなり」



それを言われてからの俺は、止まらなかった。


「昨日、兄貴の墓のとこいたよね?あれやっぱり、藤沢?」

藤沢は、首を縦に下ろす。

「やっぱ、藤沢か……ずっと気になっててさ」

「あの日はごめんなさい。逃げるつもりはなかったの。けど、あなたが神崎先生の弟さんだって事はすぐ分かったわ」

「え……どうして」


藤沢は、今までにない悲しい顔で俺を見て言った。


「だって神崎君、先生によく似てるから」


また心臓、騒がしい。
そして……痛い。

そんな顔するなよ藤沢。


「そ、そっか……ねぇもしかして藤沢って、兄貴の高校の生徒……とか?」


質問が湧いてくる。

何で兄貴の墓に?

何でここに?

一体……何の目的で……?


「そうだよ。神奈川の高校で、私の担任だったの。先生は」


そっか。
兄貴の生徒だったから、あの日兄貴の墓参りに来たのか?

じゃ、何で逃げた?


それに……。