もやもした気持ちのまま、学校に向かっていた俺の目に飛び込んできたのは、川原に出来ていたちょっとした人だかり。
……なんだあれ?
人だかりの先を見てみると、まだ4月だというのに、川の中心で何かをやっている一人の女の姿が見える。
「こんな季節に、川遊びか?」
俺は今あんなのに構っている場合じゃないし、第一、興味がなかった。
川原の様子をもう一度横目でチラッと見て、学校に向かおうとした。
そして俺は何かに気づき、立ち止まってしまったんだ。
見てしまった。
気づいてしまった。
「……あの制服」
行ってどうする。
行って何を言う。
そんなの分からないけど、俺の身体が「行け」って言っているみたいで、足が勝手に動いたのを覚えている。