胡桃を追いかけることは諦めて、私は椿君に会いに行くことにした。彼が一人暮らしをしているアパート前を待ち合わせ場所に指定したことを考えると、胡桃は本気で私達に別れてほしいみたい。


 今すぐ別れさせようとしたんだろうな。それは怖いけど、こうして会いに行くことができるんだから結果としてはよかったかも。


 あ、でも留守だったらどうしよう。会う約束してたわけじゃないし、休日だから椿君だって出かけてるかもね。


 いなかったら寂しいな、そう思いながらインターホンを押そうとしたら――ガチャリ、と先にドアが開いた。