「せっかく仲良くなれたから、
もう戦わなくていいと思ってた・・・
どうしても戦うのね?」
「うん。」
真菜の表情は真剣だった。
そして今までにないオーラが
体中から出ていた。
真菜の本気の気持ちを悟った仁美は、
「応援する。」と、言って
真菜の肩を軽く叩いた。
「仁美、私・・・この勝負を期に
引退しようかと思ってるの。」
「えっ!?」
真菜の突然の発言に仁美は目を見開いた。
「引退って・・・どうゆうこと・・・」
「亜由美ちゃんとの対決で
大食いを引退する。」
「ええっ!! ちょっと真菜!!」
「食べるのを止めるってわけじゃないよ、
大会とかそうゆうのを止めるってこと。」
「それでも・・・
せっかく有名になったのに・・・」
「私は有名人になりたかった
わけじゃないから。」
そう言って真菜は微笑んだ。
「でも、もったいないやん。」
「ううん、いいの。
それに、もう一つ
決めてることがあるの。」
「もう一つ?」
「うん。」
「何?」
「それは亜由美ちゃんに勝ってから話すね。」
真菜が大食いを引退する理由は?
真菜の一つの決意とは何なのか?
それは誰も知る由が無かった。
そして決戦の日は来た!!
「じゃあ真樹、行って来るね。」
「ああ、俺も後から行くから。」
「うん。」
真菜はそっと真樹に近づきキスをした。
「真樹、愛してるよ。」
「おう、俺もや。」
「じゃあ、行ってきます。」
「頑張ってな。」
真菜はいつものように、
しっかりと朝ごはんも食べて出かけた。
真菜は何かを心に決めている。
聞かなくてもわかる、
真菜のことなら何でも・・・
真樹も真菜の決意は聞かされてなかった。
亜由美に勝てば引退することも、
もう一つの決めたことも。
けど最近の真菜の態度ですぐわかった。
真菜は何かをしようとしている。
何かに向かって頑張ってると・・・
真菜、おまえの想いが叶うといいな。
そして、俺もそろそろ男を見せないと・・・
真樹もまた心に決めていることがあった。
真菜のこの戦いを見届けたら俺も・・・
対戦会場は、あまりの人の数に
外の庭園ですることになった。
開始2時間前にはもう
1000人の人が集まっていた。
その中にはもちろん
亜由美のファンが多い。
さすが人気グラビアアイドルだけある。
しかし真菜の人気もハンパじゃない。
各地で勝ち抜いてきた真菜。
その度、ファンが増え、
亜由美にも負けないファンの数だ。
そして俳優や、アーティストも
数名見に来ている。
もちろんその中には、
白戸宗次朗の姿もあった。
そして、開始10分前になった。
真菜、亜由美共に会場に姿を見せた。
「「「「うぉぉぉぉぉー!!!」」」
二人の登場に大きな歓声が上がる。
真菜と亜由美は用意された席の前で
向かい合った。
「亜由美ちゃん、よろしく。」
「こちらこそ。」
真菜と亜由美はガッチリと握手を交わした。
「それでは席に着いてください。」
司会者の人が二人にそう言って
二人が席に座った。
二人の前には1000人の観客。
数人に芸能人、5台のテレビカメラ。
全国が、いや世界が注目している!!
今世紀最大の戦い!!
俺は真菜からすぐ見える、
右手の少し離れた所に立った。
真菜・・・頑張れ!!
真菜は俺の方を見て、ニコッと微笑んだ。
「真菜ちゃん。」
「あっ、宗次朗さん。」
真菜の元へ宗次朗が
歩み寄ってきた。
「みんなで応援意来たよ。」
宗次朗はイケメンを5人ほど引き連れて
応援に来たという。
「勝ったら中華おごるよ。」
まだ言ってる宗次朗。
真菜はサラッと聞き流す。
「今日は頑張ってね。」
「うん。 ありがとう。」
真菜の飛び切りのスマイルに
宗次朗立ちくらみ・・・