そんな一人の保健室で考えるのはやっぱり健斗のことだった。 今、目の前にある壁。 その壁はとても広く、長く、大きかった。 その壁をとびこえることも、壊して進むこともできなかった。 こんなとき、いままで読んできた小説では“新しい恋”を探すしかないと書いてあった。 でも今のあたしの選択肢の中にそんなものはなかった。 いや、選択肢さえあたしにはなかった。