痛い・・・違う、痛くない

トラックにはねられたのに全然痛みを感じない

優しい光に包まれている感じ・・・

なんか、こう、恵まれて生まれてきた時に親が優しく抱き抱えて泣いてくれたみたいな

私は死んだんだ

地獄に落ちたんだ

地獄には絶対こんな優しいものなんてあるワケないのに・・・



眠っていたいのか瞼が重く感じる

うっすら、ゆっくりと瞼を開いていく

「お目覚めですこと?」

目の前にはカールのかかった黒髪の生えた少女が座っていた

「・・・誰?・・・此処、何処?」

「簡単に言うとあの世だ」

少女の後ろに座っていた男子2人の内の黒髪が言う

「あの世・・・?」

「そうだよ。ま、簡単に言うと、天国のようなところ」

天国・・・?

ウソでしょ・・・

「私、地獄に行くはずなのに」

「なんで、そう思うの?神が此処へ君を連れて来たんだよ?」

「面白い冗談いいますね・・・。神?そんなのいるわけないでしょ?

 だったら、なんで私、1人だけ生き残したの!?あのまま、母と父と一緒に

 死んでればよかっーーーーーー」

口を押さえられる

「それは天界では禁句ですわ」

「一之瀬美沙。14歳。学校の屋上から自ら飛び降りて死亡・・・か

 ふーん、今時、自殺ねぇ・・・フツーは地獄界に行くもんだがな

 ま、とりえず、こーいうのは天使だな。じゃぁ、さっそく・・・」

「わ、私だって、こんなとこ、来たくなかった!

 それに、あんたたちに自殺の何がわかるの!?」

「わかんねーよ。でもな、少なくともオレはお前より痛てー思いして来たんだよ」

「・・・とにかく、私、天使になんないから!」

美沙はそう言い捨て、走り去っていく

「あぁ、どうすんの?」

「追いかけましょっか」